管理会社のスタッフの方から、アパートで起きた原因不明の雨漏りトラブル事例を紹介します。
賃貸物件では、入居者が居住しているのですから、不具合が出た場合大家に修理してもらわなければなりません。入居者から不動産会社に連絡を入れてもらえれば、確認のために部屋を見ます。その上で、大家に連絡をして修理をしてもらうのですが、中には修理をしてくれない大家もいます。
「どうしてすぐに直してくれないの?」と思う方もいるかもしれません。そこには、修理したくても修理できない事情があるのです。
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アパートで雨漏り発生!原因や責任はどこ?
築20年のアパートに居住する入居者様から慌てた様子で電話を頂きました。その賃貸物件は、鉄骨造2階建ての2階部分で、上階より雨漏りがして3LDKのうちの北の部屋が使えないというのです。
「天上から雨漏りがするんです。今までよりもすごい!どうしたら」
「どんな様子ですか?」
「10時ごろに、音がし始めて、そしたら2箇所からポタポタと水が落ちてきます」
「分かりました、すぐに行きますからお待ちください」
早速アパートに向かいます。北の部屋は6畳間です。見ている最中に天井の他からも雨漏りの音がします。入居者が「押入れかも!」ということで押入れを開けると押入れでなく、戸袋から漏れているようでした。
しばらくすると、ポタポタは終わったのですがその場で大工さんに連絡をして後日大工さんに見てもらうことにしました。
賃貸物件の造りが悪い?雨漏りの原因はお風呂の湿気?
当初、入居者はお風呂の湿気が原因ではないかと考えていました。風呂場の湿気が天井を伝わって雨漏りを起こしたというのです。「そんな馬鹿な・・」と思ったのですが、一応大工さんにその話しを伝え見てもらうこととなりました。
大工さんは、屋根に上って屋根の状態を見ます。屋根の状態は悪くないとのこと。そこで部屋を見ます。ポタポタ落ちた天井や天袋は水が滲み出ていますので様子が分かります。
大工さんは、「ここだけがポタポタ落ちているわけではないな」とのこと。ですが、他の部屋からは雨漏りの連絡はありません。そこで、大工さんにお風呂の湿気について聞いてみると、「そんなことがあるわけない。これはね、天上だね。次にきたときに天上を見てみるよ」
大雨なのに雨漏りがない!意外な原因が判明
ところがこの雨漏り、様子が変なのです。確かに屋根には異常は見つからなかったのですが、大雨が降ってもポタポタ落ちてこない。晴れた日にポタポタと落ちてくるのです。そうなると、大工さんが言うように天上に問題あるということになります。
そこで、戸袋から天上の中を見てもらうことにしました。すると、「あ~、こりゃあダメだ。他の部屋も同じように落ちているはずなんだがなぁ。ん~、これは大変だ」
詳しく聞いてみると、天上にダクトのようなものがあって、それが役に立ってない。つまり、そこに屋根から落ちた水を吸い込んで天井を伝わって落ちたということなのです。そのダクトを取り外すか新しくしないと雨漏り状態は続くというわけで、大家さんに相談です。
雨漏りの責任は大家!修理はどうなるのか?
アパート大家に連絡して数か月。入居者からもいつ、修理してもらえるかの問い合わせが来ました。ところがここで問題発生です。大家も修理したい気持ちはあるのですが、修理費で悩んでいるようです。
こちらもすぐに修理してほしい旨を伝えますが、こればかりは大家の出費となるので難しい問題です。毎月の家賃収入を考えると難しい出費ではないはずですが、大家によってはすぐに修理をしてくれないこともあるのです。
そこには大家の事情が絡んでくるのですが、今回は「使える修理費用が決まっているので・・・」という理由からなかなかGOサインが出ませんでした。
大家が修理費用工面で難色!使える修理費用ってどういうこと?
毎月家賃収入があるのに、使える修理費用が決まっているというのはどういうことなのか? これには色々な理由が考えられます。
まずは、アパート建築費用の残金(アパートローン)がまだ残っている場合です。家賃収入から銀行に返済する元金と利息、固定費用として管理費・光熱費・税金など絶対に掛かる費用があります。手元に残る資金で賃貸物件を維持運営しなければなりません。
また築20年の間にリフォームや大規模修繕工事を行っていると、さらにそのリフォームローンの返済が終わっていない場合もあります。そうなると毎月の家賃収入は、アパートローンの返済と固定費・リフォームローンの支払い、修理費のストックをしておく必要があります。
家賃の一部を修理費用としてストックしていても、すぐに貯まるわけではありません。今回の大家の場合もこれに近い事情だったのです。
退去寸前!雨漏り放置からやっと修理対応
それから数日後、やっと大家からGOサインが出たので、もう一度大工さんに修理箇所を見てもらいました。入居者がいる日と修理に入る日を決めなければなりません。
費用の関係からとりあえずこの部屋だけを修理するようにしました。後でわかったことですが、この入居者は更新月が近づいていたのでした。おそらく、更新するかどうかを修理してくれたら更新、しなければ更新しないと決めていたのでしょう。更新する日のギリギリまで返事がありませんでしたが、やっと更新の返事がきました。
築年数が経っていると修理費用をすぐに出せない場合もあります。応急処置はしてくれても完全な修理をしてもらえるとは限りません。今回は、更新月であったことが良かったのかどうかは不明ですが、とりあえず修理ができて安心することができました。大家がすぐに修理できない場合には、大家にもそれなりの事情があることを知っておくと慌てずにすみます。
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