【高齢者の孤独死問題】離婚した元妻が別れても最期まで面倒をみた思い

不動産会社のスタッフ様から、アパートに独り身で入居する高齢者問題についての感慨深い体験談の紹介です。

 

最後の高齢者のアパートへの入居拒否のニュースを見るたびに思い出すことがあります。人生80年と言われる今日この頃ですが、人生最期の時を誰に頼むのか。アパートで独り暮らしをしている高齢者の方には考えておいて欲しいことです。

 

別れた奥様が最後を看取った件についてお話しします。

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人生の終焉を迎えたとき誰が面倒をみるのか?

一本の電話が入りました。声の主は入居者の元妻です。

 

「先日、亡くなりました。入院先の病院で・・・。それで、アパートは私の知人が掃除と畳替えをやってくれます。心配しないでください。宜しくお願いいたします」入居者は、ある病気を患っており通院しながらの生活でした。

 

当時の勤務先の社長もその状態を知っており心配していたのですが、その心配が現実となってしまったのです。それにしても、なぜ別れたはずの奥さんが最期を看取ったのか?そこには、今の日本の現状があるのです。

 

 

娘には迷惑を掛けたくない

入居者が通院していることは、社長も従業員も周知のことでした。

 

アパートの更新が近づくと概ね1.5ヶ月前にハガキで通知をします。普段、通院等をしていることもあり連絡が取れない場合に備えて保証人である娘さんに連絡を取ることになっていました。

 

ところが、通知を出す前に別れた奥さんから電話が入りました。「更新書類などは、アパートに送ってください。私が責任を持って処理します。」聞けば、子供は娘さんのみで、保証人になっている娘さんも結婚しておりこちらには住んでいないこと、そのため父親に何かあってもすぐに来ることはできない。何よりもそのことで嫁としての立場が悪くなったら・・。

 

別れた奥さんは「とにかく、娘には迷惑を掛けたくないんです」とのこと。入院した時にも、父親から娘さんに連絡があり、娘から相談を受けて別れたものの近所に住んでいる自分が面倒を見ることにしたというのです。

 

 

離婚した夫婦は他人ですが子供は親子

今回のケースは、離婚したにも関わらず子供に迷惑を掛けたくない理由から、別れた相手の面倒を最期までを見たという話しです。

 

「そんなことあるの?」と思った方もいるでしょうがこれが現実なのです。離婚すれば、夫婦は他人ですが子供は親子関係が続きます。そこを考えておかないとなりません。

 

このケースのように入居者が入院すれば親族である子供に連絡がいくのは当然のこと。連絡先を子供ではなく兄弟姉妹にしてあっても子供に連絡がいくのです。たとえ、兄弟姉妹がいたとしても子供がいるとなれば手を出さないのが普通だからです。

 

保証人はできれば男性が良い?

今回、娘さんが父親の連帯保証人となっていました。入居者と社長が知り合いだったのかどうかは不明ですが、おそらく社長が保証人は娘さんでも良いとしたのでしょう。

 

心配なのは、一つは経済力。一つは結婚した場合に保証人を変える必要があるからなのです。それでも、娘さんで良いとしたのは離婚をして独り身であることや通院が必要であり、滞納もなかったことなどから判断したものと考えます。

 

この点は日本が抱えている問題だと思うのです。男性ならOKで女性なら△。確かに経済力で言えばまだまだ男性の方が収入も多いことも事実です。しかし、このケースのように年老いた親の保証人に娘だけしかいない場合も出てくるのです。当然、不動産会社と話し合いをするのですが、現実問題として難しいものです。

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娘思いの母の願いは迷惑を掛けたくない一心だけ

この言葉を深く理解する必要があります。今回のように父親の保証人になっていることで、嫁に行った先で「姑や小姑に嫌味を言われないか」「意地悪されないだろうか」など子を持つ母親なら誰もが心配することです。

 

アパートの賃貸契約の保証人であっても心配は尽きません。孤独死してしまったらどうするのか、入院したら入院費は誰が負担するのか、その間の面倒は誰が見るのか等問題が出てくるからなのです。いくら実の娘とは言え自由にできないことも事実なのです。

 

そうなると、娘の生活を守るために別れたにも関わらず面倒を見ることになってしまうのです。

 

 

高齢者の孤独死を避ける

今回のケースでは、入院先で亡くなったことが幸いでした。何事もなく次の入居者も決まりホッとしたというのが不動産会社としての本音です。

 

経験者ならご理解頂けると思いますが、病院等で亡くなった場合は別として、自宅療養中などで亡くなった場合はたとえそれが病死や老衰によるものであったとしても警察を呼ぶ必要があるのです。

 

それだけでも騒ぎになるのに「孤独死」となれば大騒ぎです。独り暮らしの高齢者の入居を拒否するのはこの「孤独死」を避けたいからなのです。「孤独死」となれば、しばらくの間その部屋は空き部屋となってしまうからなのです。

 

 

本当の別離れ

別れた奥さんに最期を看てもらった入居者。事情を知らない人が聞けば美談になるでしょうか?借りていたアパートの掃除をし(業者も奥さんが手配していました)畳替えを終えたとき、どんな思いだったのか。後日、その奥さんが挨拶に来ました。

「大変でしたね」

「他人になっても子供にしたら親ですものね。他人から見れば人が良すぎると言われるかもしれないけどね。でも、もう終わったから安心しました」

どういう経緯で離婚したのかは分かりません。けれども、離婚後も最期まで面倒を看てアパートの処理までした奥さんの気持ちがあの言葉にありました。

「もう終わったから、安心しました。」

 

 

離婚後のことも考える時代?

「離婚したら、後は関係ない」そう思う気持ちは分かりますが、親子関係は続くので今回のケースのようなことも出てきます。

 

そうなったときにどういう対処をするのか、親子で話し合っておく必要があります。このケースでは、別れた奥さんが最期まで看てくれましたがこれが逆だったらどうだったでしょうか?

 

都会ではNPO法人が区役所と連携を持ち、独り暮らしの高齢者の入居に力を入れているそうです。家賃を滞納させない、孤独死を防ぐために声掛けを毎日して健康状態を見る等の条件はありますが、こういった動きが全国的に広がることを希望します。

 

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