アパート経営の利回り計算方法と平均や目安・相場はどのくらい必要?

アパート経営を始めるにあたって、マイソク(販売図面)に載っている利回りは、投資判断の一つの指標として良く用いられます。簡単に言えば「1年間のアパート経営で儲かる割合を数値化」しているというのが利回りです。

 

高利回りの物件を紹介され「駅近で利回り10%のRC物件がでた!」と喜んではいけません。中身が大切なのです。

利回りにも3種類「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」等がありますが、詳細にシュミレーションをしてみると厳しい数値となります。利回り計算は甘めに考えてしまう傾向があるので要注意です。

 

不動産業者からの物件紹介や銀行融資を受けるためにも、基礎知識でもありますのでビジネスをする上でよく理解しておかなければなりません。収益物件を購入するため、必要不可欠な「3つの利回りと計算方法」「相場や目安」を紹介致します。

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アパート経営の3つの利回り計算方法

収益物件のアパートやマンションのマイソク(販売図面)を見た時、利回りの項目があります。

アパート経営の表面利回り(グロス利回り)とは?

表面利回りは、収益力を表す大まかで・ざっくりとした投資指標として用いられる数値です。

投資物件を瞬時に選別し、ふるいに掛け取捨選択をする事ができる、ドンブリ勘定的なものでもあります。

 

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格

年間家賃収入を購入金額で、単純に割ったものです。

 

不動産業者の営業マンの方からは、「希少な物件!都内表面利回り6%の物件!」「表面利回り7%の物件が出ましたよ!」と紹介され、一般的に一番多く使われている投資指標です。

 

木造築古アパートの一例

土地と建物3,000万 中古アパート 6世帯 家賃5万の場合

5万円×6世帯=30万円(月額家賃収入)

30万(月)×12カ月=360万円(年間家賃収入)

360(年間家賃収入)÷3,000(購入金額)=0.12

0.12×100=12%(表面利回り)

 

アパート経営の実質利回り(ネット利回り)とは?

実質利回りとは、ざっくりとした表面利回りと比べ必要経費を含めて換算した、実質的な収益力の投資指標になります。物件を購入する際は、必ず「表面利回りは8%だけど実質利回りは何%なのか?」を計算してみて下さい。

 

実質利回り = 年間家賃収入 - 年間支出(ランニングコスト) ÷ (物件価格+購入時諸費用)

 

表面利回りは、高いけど購入時の諸費用(仲介手数料、登記費用、固都税の精算、火災保険・地震保険、印紙代)、ランニングコスト(固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立費用、電気代等)の負担が大きいと、実際の利回りは1%程度は大きく下がる傾向にあります。

 

利回りが1%や2%下がるのは、収支が大きく損なわれ余裕のない苦しい事業ともなりますので、賃貸経営に大きなインパクトを与えます。安易に考えてはいけません。

 

表面利回りと同条件のアパートの一例

土地と建物3,210万(購入時諸費用7%込み) 中古アパート6世帯・家賃5万円で満室経営の場合

5万円×6世帯=30万円(月額家賃収入)

30万(月)×12カ月=360万円(年間家賃収入)

実際の収入:360万-60万(経費・ランニングコスト代)=300万
※経費率20%

300÷3,000=0.10

0.10×100=10%

アパート経営の想定利回りとは?

想定利回りとは、新築アパートを建築する際や空き家の戸建て・マンションを、これから貸し出してみたら、収入がどのくらい見込みるのかを表す指標です。

 

想定利回り = 年間家賃収入(想定) ÷ 購入価格 

 

あくまで想定される家賃収入での利回りとなるので、近隣家賃相場とかけ離れた家賃収入を見込んでいれば、机上の空論に近いものがあります。想定利回りは、実際に入居者がいて家賃収入を得られている訳ではなく「この家賃で貸せるだろう」「年間家賃収入はこれぐらい」と都合良くなるとも言えません。

 

不動産業者任せにはせず、ご自身で家賃相場を調べなければ、期待していた家賃収入と利回りは確保できません。

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アパート経営の平均利回りや相場とは?

アパート経営の利回りの目安とは?初心者の方にとっては、実際に賃貸経営をした経験もない事から、イメージは付きにくい物と映ることでしょう。

 

アパートの表面利回りの平均や相場は

都心・都内のアパート

新築アパートで「~6%前後」、中古であれば「6%~8%前後

 

地方のアパート

新築アパート「新築8%前後」、中古であれば「8~20%前後

 

関東県内のRCマンション

茨城6%~13%前後、群馬7%~16%前後、栃木県7%~16%前後、千葉5%~16%前後、埼玉県5%~14%前後、神奈川4%~11%前後、東京都2~12%前後

 

ポータルサイトに出ているアパートやマンションの売買価格は、売り主が売りたい金額であり、「95%以上がエンド価格」になります。最後のお客様価格で、売却する際は次の投資家に融資が付かない・残債以上で売れない様な金額となります。

 

普通に出回っている物件で利回りが8%以下であれば、何とか苦労して利益が出る物件から、赤字で給料から補填しなければならない不動産投資をやる意味のない物件まであります。自身で物件の価値を精査し「いくら掛かるのか?」「いくら儲かるのか?」「売り時はいつなのか?」を見極める力が必要です。、

アパート経営は儲かる!賃貸経営で成功する3つのポイント

 

アパート経営の利回りの目安はどの位必要?

需要のある地域でアパート経営を安定的に運営する目安は2点、この条件に当てはめる事が出来れば失敗は避けられるはずです。

投資物件の利回り=「表面利回り8%+借入金利率

5年~10年程度で融資が返済できる利回り

 

表面利回りは8%程度ないとキャッシュフローも出ないので最低限抑えておきたいラインです。同じ状況下の物件・融資条件・経営者の手腕というものは、全て別物なので8%の利回りであれば良しとはなりません。表面利回り8%程度で運営ができるのかを考え、「手元にいくら現金が残るのか?」「大規模修繕の時期と費用」「デッドクロス」「出口戦略・売却するのか・建て替えするのか?」を考慮して、利回りを逆算して下さい。

しかし利回りが8%あれば良いのかと言えば、全くそうでもありません。実質利回りが極端に低い物件もありますので、あくまで目安です。

 

更に、2つのポイントを注意して考える必要があります。

自己資金が何年で回収できるのか?

いつ残債と土地値(実勢価格)が同じになるのか?

不動産投資を続けていくには、自己資金の温存と負けない・失敗しない投資を続けていかなければなりません。

 

アパート経営の利回りは、ケースバイケースで「空室率の高い地方なのか需要の旺盛な都内なのか、築古アパートなのか新築アパートなのか」「競争力がある間取りや収益力」「ランニングコスト」等も絡んでくるので、一概に言えないところもあります。億の借金をするのですから、面倒と思わずシュミレーションをするべきです。どのくらいの利回りを確保しなければならないのかが確認できるはずです。

 

イールドギャップの考え方

計算が容易なイールドキャップで考える方法もあります。

イールドキャップ = 実質利回り - 借入金利

 

一例

表面利回り8%の不動産を、実質利回りで計算し、表面利回りから-2%として6%とします。

スルガ銀行から金利4.5%で融資を受けたとすれば、6-4.5%で1.5%がイールドギャップとなります。

1.5%程度で余裕はありません。

平日に仕事をしている場合ではありません。有給休暇を申請し、すぐに金利の低い銀行へ借り換えましょう。

【アパートローンの金利比較】メガバンクVS地方銀行!一番お得な融資はどこ?

 

ではイールドキャップはどのくらいあれば良いのか?

 

安全に賃貸経営をするには、最低でも「需要のある都心であれば5%以上」「地方であれば10%以上」が目安です。地方は賃貸需要が別物なので、空室リスク・収益力が低い事・RCであれば高額な修繕費用も掛かる事を考慮しなければなりません。

 

余裕を見ておかなければ、「空室リスク・入退去に伴うリフォーム・クリーニング・仲介手数料等の費用・税金・修繕費用」を賄えません。空室だらけで儲からず困っている大家さんは沢山いるのですから。

 

イールドギャップ数%では、見せ掛けだけのキャッシュフローになったり・不安定な賃貸経営にもなる事から、最低5%以上を目安にしましょう。

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まとめ

利回りの指数で大事なことは、不動産業者がアピールする甘めの数値ではなく、近隣家賃相場を踏まえ厳しめの月額家賃収入を見込んで、計算する事が大切です。

 

良くあるパターンとして、地主さんがハウスメーカー建築した新築木造あパートで、甘めの高い家賃設定をしてしまい、実際は手残りやキャッシュフローが手元に全然残らない様な事も良くあります。

 

アパート経営は自己責任、人任せに頼る姿勢は危うい賃貸経営となります。自分自身で解決する気構えがないと、高い授業料を払って事業をする事になります。他人任せで大切なお金を得ようとするのは、容易な事ではありません。

ステップ1【不動産投資のイロハ】

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